アートやカルチャー、特に音楽においてメインストリームとアンダーグラウンドはしばしば対立して論争を巻き起こすことがあります。
カラオケで例えると、
流行りの曲を熱唱している人を見て、
「うわぁ、こんなベタな曲歌って恥ずかしくないの?笑」
マイナーな曲を熱唱している人を見て、
「うわぁ、なんで誰も知らない曲わざわざカラオケで選曲するの?笑」
という現象のことです。
カラオケの選曲はTPOに合わせてやれば良いと思いますが、普段自分がどんな音楽を聞くかに関しては自由なはず。
しかし、メインストリームとアンダーグラウンドの対立は根強いものがあり、他人の趣向まで攻撃するようになりがちです。
「ヒットチャートには商業主義のニセモノ音楽しかない」とか、
「聞き手のことを全く考えていない自己陶酔インディー音楽」とか。
こういう意見を聞くと、なんだかもったいないなぁと思ってしまいます。
それぞれいいところがあるので、どっちも聞けば良くないですか?
メインストリームとアンダーグラウンド、それぞれ違いがあるのでいいとこ取りすれば最高ですよね。
お互いの良さを認識して、色んな音楽を聞けるようになれば自分の世界がひろがると思うのです。
メインストリーム音楽の良いところ
売れている=普遍的な良さがある
売れているということは、多くの人に受け入れられるということ。
それはつまり、普遍的な良さがあるのです。
普遍的な良さとは、万人が好きになれる要素です。
例えば、
- キャッチーなリズム
- 琴線に触れる歌詞
- 聞きやすい構成
メインストリームの音楽には、こういった人を惹きつける要素が含まれていることが多いです。
普遍的な良さを素直に受け入れる感覚は大切だと思います。
金をかけられる=しっかりした楽曲作りができる
メジャーな楽曲を聞くと、しっかりと構成されてて本当に安心感があります。
それはお金をかけて、丁寧に作られているからです。
低予算インディペンデント映画も味があるけど、お金をかけたハリウッド映画やっぱりおもしろいな!!みたいな感覚です。
ローファイ(敢えて荒っぽい作り込みをした楽曲)の良さがあるのは分かります。
が、しっかりと作り込まれた音楽を聞く楽しさは誰しもが共感できるところだと思います。
アンダーグラウンド音楽の良いところ
自由度が高い
メインストリームという定型があって、それを実験的に崩していくのがアンダーグラウンドの良さです。
- リズムを敢えて外す
- ノイズまみれの編曲にしてみる
- 訳のわからない音を入れてみる
アンダーグラウンドな楽曲が色々と自由度高く実験してくれるから、今までにない楽曲やジャンルが生まれます。
ずーっと実験もせずに売れそうな曲ばかりつくっていても進歩はありません。
自分の枠を壊して、前にすすめる気持ちは大事です。
コミュニティが小さくて、近くて、早い
多くのアンダーグラウンドのコミュニティは小さくて、人と人の結びつきが近い場合が多いです。
自分と同じ変わった趣味を持った人を見つけたとしましょう。
そういう人に会う機会ってなかなかないので、めっちゃ意気投合しますよね?
それと同じです。
イメージとしてはトキワ荘に集まった手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎です。
そのような環境で切磋琢磨された楽曲は、素早く爆発的な広がりを見せることがあります。
この爆発力もアンダーグラウンド音楽の魅力です。
まとめ
どんなものでも最初はマイナーから出発して、だんだんとメジャーになっていきます。
ロックもジャズもブルースもヒップホップも、最初はアンダーグラウンドな位置づけをされていました。
メインストリームとして定着してからも、ジャンルが枝分かれしてアンダーグラウンドなサブジャンルが発生するというサイクルが繰り返されます。
メインストリームとアンダーグラウンドは表裏一体、お互いに影響し合いながら進化していくものなのです。
それぞれに良いところがあり、お互いの立場で目指す方向性が違うので、比較することはあまり意味がありません。
終わりなき論争をずっと続けるより、どっちも聞いて素直に良いところを認めたほうが自分のセンスや価値観がひろがると思います。